怖い絵

ちょっと前に六本木の青山ブックセンターで何気なく手に取り
こりゃとても面白い本だ!と思って読んでいたら
最近母校から送られて来た広報紙により、この本が大学時代に
ドイツ語を教わっていた中野京子先生の著作だということに気づいた。

怖い絵

怖い絵


16世紀から20世紀の西洋名画に一見しただけでは知ることが
できない(いやじっくり見ても分からないんですが)隠された”恐怖”を解説している。
ここでいう”恐怖”の説明には、とても気に入った本書まえがきの一文を引用。

恐怖の源、それは何より「死」である。肉体の死ばかりでなく、精神の死ともいうべき「狂気」である。直接的な恐怖はほとんど全て、このふたつの死へと収斂されると言っていいだろう。
脆い肉体に襲いかかる「苦痛」「暴力」「戦争」「大自然」「闇」「野獣」「病気」は肉体の死と結びついているし、自己の存在を揺るがす「嫉妬」「孤独」「喪失」「悪意」「怨霊」「悪魔」「(人肉食などの)タブー破り」は狂気と結びついている。それら前段に当たる「未知」「不安」「他者」も同じだ。また「愚かさ」も大きな恐怖の種になる。愚かさゆえに人間は、自分で作りあげた半端な社会制度によって「偏見」「貧困」「差別」を産み、やはり緩慢な死へと自も他も追い込んでゆく。

基本的に不真面目な学生だった私だが、中野先生の授業はとても思い出深い。
授業中、良く映画の感想を話して下さったのを憶えている。
ロバート・デ・ニーロミッキー・ローク主演「エンゼル・ハート」ラストシーンの怖さは
欧米つまりキリスト教特有の神と悪魔の位置づけや宗教観によるもの、とか。
なるほどなぁ・・・と思ったっけ。
今思えば、あれら脱線話もこの本の伏線になるような気がする。
ここ数年、これほど知的興奮を憶えた本は無かった、オススメ。

怖い絵2

怖い絵2


続編も出ている。まだ読んでないけどパラパラめくったところ、より面白さが増してそう。
さて、中野先生に習った私のドイツ語はといえば、ドイツパン屋を経営している私の妹夫婦の
ルートでドイツ人の友人もできたことから、ドイツ旅行中も日常会話にはまったく支障が
無いほどに、磨きがかかり上達している。
・・・なんてことはなくさっぱり忘れてしまいました。申し訳ありません。


エンゼル・ハート [DVD]

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